37kmの向かい風 ――「あと5分」が、届かない

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40代前半に「ふわっと」走り始めた怠け者ランナーが、59歳でサブ4を達成するまでの実録シリーズ(全19話・週1〜2話ペースで公開中)・第17話。「あと5分」まで近づいた年の話です。

ペースを一段抑えれば、脚は最後まで持つ。その手がかりを掴んだ私は、いよいよサブ4に向けて、少しずつ本気になっていきます。

相棒は、ガーミンの時計

前回、心拍だけは言うことを聞いた、あのガーミンのランニングウォッチ。この時計には、もう一つ、私にとって大きな機能がありました。

日々の練習を記録すると、「今のあなたなら、フルマラソンはこのくらいで走れますよ」という予測タイムを出してくれるんです。この予測が、以後の私にとって、自分の実力を測る”ものさし”になっていきました。

まず、練習を変えた

年の瀬の大会(イーブンで走り切れた、あの4時間25分)のあと。

これまでの私なら、大会後は2週間くらい、きっぱり休んでいました。でも今回は違います。3日程度の休養だけで、脚の状態を気にしながら、少しずつ練習を再開しました。サブ4を狙うと決めた男は、少しだけ、我慢がきくようになっていたんです。

方針は、シンプルに距離を伸ばすこと。そして大会の前々月には、人生で初めて、月間200kmを走りました。 怠け者の私にしては、大変な進歩です。

春先の地元、4時間10分台

そうして迎えた、春先のいつもの地元大会。

ガーミンの予測タイムは、およそ4時間5分。そこで私は、キロ5分50秒ペースで走ることにしました。本番のアドレナリンにも、少し期待して。

終盤、35kmを過ぎたあたりで、多少は失速しました。でも――いつものような大失速では、なかった。 一段抑えて距離を踏んできた成果か、脚は最後まで、それなりに持ってくれた。結果は、4時間10分台。

サブ4まで、あと10分ちょっと。手応えは、確かにありました。

夏をサボらず、距離を積む

春先の大会後も、私は大きな休みを取りませんでした。3日後には、もう練習を再開。

課題は、毎年夏場にがくんと落ちる練習量です。そこで、スピードはあまり気にせず、毎月の走行距離100kmを目標に設定しました。実際は「概ね100km」といったところでしたが、それでも夏の間、脚力を落とさずに済んだように思います。

そして9月から距離を伸ばし、11月には再び200kmオーバー。

この11月、私は初めて30kmを走る練習を入れました。前回書いた、ネットで見て取り入れたやつです。

結果は、正直きついものでした。25kmを過ぎたあたりで、もう脚がキツい。 それでも、なんとか30kmまでは走り切りました。速くもなければ、余裕もない。ただ「30km走った」という事実だけが残りました。

年の瀬、時計は「4時間ジャスト」と言った

迎えた、年の瀬の大会。スタート前、ガーミンの予測タイムは、ほぼ4時間ジャストを示していました。

――もしかしたら、サブ4、いけるかもしれない。

初めて、サブ4が絵空事ではなくなった気がしました。私は思い切って、サブ4ペースであるキロ5分40秒に設定して、スタートを切ります。

序盤から、ほぼ設定どおりに走れました。残り10kmのあたりで、ざっくり計算してみます。――このままだと4時間0分台。サブ4には、わずかに届かない。

ペースを上げられれば、何とかなるかもしれない。ただ、脚の余力はもうわずかでした。今のペースを最後まで保てるかどうかさえ、確信が持てない。

そこで、こう決めました。このままのペースで39kmまで粘って、ラスト3kmで全部出し切る。

――ところが。

37kmの、向かい風

37kmの折り返し地点。そこから、強い向かい風が、正面から吹きつけてきたんです。

もう少し鍛えられた脚なら、この風にも立ち向かえたのかもしれません。でも、そのときの私に、向かい風を押し返すだけの脚は、もう残っていませんでした。

ここから、失速。結果は、4時間5分。

サブ4まで、あと5分。届きませんでした。

ただ、不思議と悔しさはありませんでした。もともと、サブ4を確信して臨んだレースではありません。

それよりも強かったのは、「やっぱり、練習は裏切らないんだな」という気持ちでした。春先の4時間10分台から、たった5分縮めただけ。それでも、走り込んだぶんだけ、確かに地力はついている。そう実感できたことの方が、私には大きかったんです。

届かなかった。でも、答えは見えた

そしてこの二つの大会は、私に大事なことを教えてくれました。

ガーミンの予測タイムより、本番の結果は、だいたい5分ほど遅い。春先も、年の瀬も、そうでした。予測が4時間ジャストでも、本番は4時間5分になる。予測を鵜呑みにしていては、サブ4には届かないんです。

ならば、答えははっきりしています。次の春先の本番までに、ガーミンの予測タイムが3時間55分を切るところまで、走り込めばいい。5分の”のりしろ”を、あらかじめ作っておくんです。

「あと10分」、そして「あと5分」。じりじりと近づいてはいるものの、二度とも、あと一歩で届いていない。それでも――いや、だからこそ、ぼんやりした憧れだったサブ4が、こうして数字で追いかけられる目標に変わりました。

――勝負の冬が、始まります。

(続く)


📋 この時期の記録

  • 年齢:58〜59歳
  • 練習:12〜2月は月130〜200km(前々月の1月に人生初の月間200km)/その後、夏は月100km前後を維持 → 11月に200km超。11月に初めての30km走(25kmで脚がキツくなった)
  • 結果:3月4時間10分台・58歳(ガーミン予測4時間5分台)→ 12月4時間5分台・59歳(予測4時間0分台、37kmから向かい風)
  • 私の場合:本番はガーミンの予測タイムより約5分遅い。これが2レースで見えた、私の法則でした

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