40代前半に「ふわっと」走り始めた怠け者ランナーが、59歳でサブ4を達成するまでの実録シリーズ(全19話・週1〜2話ペースで公開中)・第14話。居酒屋の一言からサブ4挑戦が始まった話です。
年齢を突きつけられ、ふつうなら、記録を追うのはやめておく場面です。そんな私が、なぜ正反対に、サブ4という、努力すれば手が届くかもしれない目標へ走り出したのか。
きっかけは、走っているときではありませんでした。――居酒屋です。
友人の、何気ない一言
私はもともと、お酒と飲み会が大好きな人間です。30代の頃ほどではないにせよ、この頃も、友人とは定期的に飲んでいました。
その席で、私が大会に出ていることは、かねてから話していました。あるとき、ふとタイムの話になったんです。
「ベストは、4時間10分くらいかな」。私がそう言うと、友人たちの反応はこうでした。
「えっ、4時間切れてないの!?」「切らなくていいの?」「切ったほうがいいよ!」
走らない友人たちにとって、フルマラソンといえば「4時間」が、分かりやすい一つの区切りなのでしょう。悪気のない、本当に何気ない一言です。
でも、その一言が、妙に私の胸に残りました。
「趣味」と呼ぶなら、4時間を切らなくていいのか
ちょうどこの頃、私はランニングを「自分の趣味」だと、自覚し始めていました。
そんなタイミングで言われたものだから、つい考えてしまったんです。――「趣味です」と胸を張るわりに、4時間も切れていなくて、いいのだろうか?
ここで、例の見栄っ張りな性格が、またむくむくと顔を出します。歩く姿を人に見られたくなかったあの私が、今度は「サブ4ランナーです」と、胸を張って言えるようになりたくなってしまった。
我ながら、根っこのところは、ちっとも変わっていません。
57歳、58歳 ―― 定年を前にして
もう一つ、この時期ならではの事情がありました。
私は当時、57か58歳。60歳の定年を、目の前に控えていました。定年で辞めるのか、延長するのか。その先、どう過ごそうか。――そんなことを、ぼんやり考えていた時期でもあったんです。
せっかく一つ趣味を見つけたんだから、何か一つくらい、ちょっとした張り合いになる目標があってもいいよな。その程度の、軽い気持ちでした。
そんなとき、「サブ4」という分かりやすい目標は、ちょうどいい手頃さで、私の中にすっと収まったんです。
ただし、誰にも言わなかった
こうして私は、サブ4を狙ってみることにしました。
もちろん、これまでにも目標がなかったわけではありません。「5時間を切りたい」「歩かずに完走したい」――そういう目標なら、その都度ありました。でも、はっきりと「タイム」を狙って、自分から取りに行こうと思ったのは、サブ4が初めてでした。
過去に4時間10分台まで行ったときも、「サブ4を目指そう」と決めて走ったわけではありません。一生懸命走ったら、結果としてそのタイムが出ただけ。でも今回は、自分の中で「よし、サブ4を狙おう」と、初めて意識して決めたんです。
……ただし。ここが、いかにも私らしいところなのですが。
この目標、心の中で思っただけで、誰にも言いませんでした。
「サブ4目指してます」なんて宣言して、もし達成できなかったら、かっこ悪い。だから、ダメだったときの逃げ道として、口には出さず、こっそり胸の内にしまっておいたんです。
見栄っ張りで、そのくせ、ちゃっかり逃げ道も確保しておく。結局、最後の最後まで、いつもの私でした。
(続く)
📋 この時期の記録
- 年齢:57〜58歳
- 内容:初めて「タイム」を狙いにいくと決めた(ただし誰にも言わない)
- きっかけ:友人の「えっ、4時間切れてないの?」と、定年を前にした「張り合いが欲しい」気持ち
- 私の場合:目標は公言せず、達成できなかったときの逃げ道を残しました。そのほうが気楽に走れました

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